仲介手数料の計算方法
不動産仲介は売主と買主の仲介を行うだけであって、その売買が行われたことによって不動産仲介業者には利益が発生しません。 ではどこで不動産仲介業者が生計を立てていくかというと、不動産売買の仲介をおこなった報酬として仲介手数料いただき売上を上げていきます。
さて、その仲介手数料ですが、昨今インターネットの普及で不動産業界も大きくかわりつつあり、仲介手数料についても通常より割安な形で仲介業務を提供するところが増えてきました。
ではその大元の仲介手数料はどのように決められているのかというと、不動産業者は宅地建物取引業法によってその業務に関し規定があり、
お客様からいただく仲介手数料(報酬)についてもきっちりと規定があります。
この不動産売買に関する仲介手数料、一般的には物件価格の3%+6万円+消費税となっておりますが、
この計算方法はは400万円以上の物件についての速算法であり、正式な仲介手数料の計算方法は国土交通省によって報酬額が決められており、
物件価格200万円以下の部分については5.25%、200万円を超え400万円までの部分については4.2%、
400万円を超える部分については3.15%をそれぞれ乗じた金額の合計が仲介手数料となります。
細かい計算式が入りますので下記にて詳細を確認してください。
正式な仲介手数料の報酬区分
200万円以下の金額 | 100分の5%+税 |
200万円を超え400万円以下の金額 | 100分の4.4 |
400万円を超える金額 | 100分の3.3 |
物件価格1,000万円の場合の仲介手数料計算例
正式な仲介手数料の計算方法 | 仲介手数料速算法(3%+6万円+消費税) |
200万円 × 5.5% =110,000円 200万円 × 4.4% =88,000円 600万円 × 3.3% =198,000円 合計 396,000円 |
(1,000万円 × 3% + 6万) × 1.1 = 396,000円 合計 396,000円 |
価格別仲介手数料一覧
物件価格 | 200万円までの部分 | 200万円を超え400万円以下の金額 | 400万円を超える金額 | 仲介手数料合計 |
料率100分の5.5% | 料率100分の4.2% | 料率100分の3.3% | ||
160万円 | 88,000円 | ― | ― | 88,000円 |
180万円 | 99,000円 | 99,000円 | ||
200万円 | 110,000円 | 110,000円 | ||
220万円 | 110,000円 | 8,800円 | 118,800円 | |
240万円 | 110,000円 | 17,600円 | 127,600円 | |
260万円 | 110,000円 | 26,400円 | 136,400円 | |
280万円 | 110,000円 | 35,200円 | 145,200円 | |
300万円 | 110,000円 | 44,000円 | 154,000円 | |
320万円 | 110,000円 | 52,800円 | 162,800円 | |
340万円 | 110,000円 | 61,600円 | 171,600円 | |
360万円 | 110,000円 | 70,400円 | 180,400円 | |
380万円 | 110,000円 | 79,200円 | 189,200円 | |
400万円 | 110,000円 | 88,000円 | 198,000円 | |
420万円 | 110,000円 | 88,000円 | 6,600円 | 204,600円 |
440万円 | 110,000円 | 88,000円 | 13,200円 | 211,200円 |
460万円 | 110,000円 | 88,000円 | 19,800円 | 217,800円 |
480万円 | 110,000円 | 88,000円 | 26,400円 | 224,400円 |
500万円 | 110,000円 | 88,000円 | 33,000円 | 231,000円 |
1,000万円 | 110,000円 | 88,000円 | 198,000円 | 396,000円 |
1,500万円 | 110,000円 | 88,000円 | 363,000円 | 561,000円 |
2,000万円 | 110,000円 | 88,000円 | 528,000円 | 726,000円 |
2,500万円 | 110,000円 | 88,000円 | 693,000円 | 891,000円 |
3,000万円 | 110,000円 | 88,000円 | 858,000円 | 1,056,000円 |
3,500万円 | 110,000円 | 88,000円 | 1,023,000円 | 1,221,000円 |
4,000万円 | 110,000円 | 88,000円 | 1,188,000円 | 1,386,000円 |
仲介手数料への大きな勘違い
さてここで仲介手数料について注意しなければいけないことが一つあります。それは、
不動産売買の仲介手数料が「物件価格の3%+6万円+消費税」ではない
ということです。
ここまで仲介手数料の説明をしたのに意味がよく解らないと思う方もいらっしゃるとおもいますが、実際に仲介手数料は「物件価格の3%+6万円+消費税」ではありません。では、本来の正しい仲介手数料は何かというと「物件価格の3%+6万円+消費税以下」というのが正解となります。
いちばん大切なことは3%+6万円+消費税以下であれば仲介手数料は何パーセントでもかまわないということです。
例えば前に出てきたように1000万円の物件を買った場合の仲介手数料の上限は38.88万円となりますが、実際は30万円でもかまわないし、20万円でもかまわないのです。要するに38.88万円以下であれば仲介手数料はいくらで設定しても構わないというのが本来の姿です。
× 仲介手数料=3%+6万円+消費税
○ 仲介手数料=3%+6万円+消費税以下
ではなぜ皆さんが間違った形で仲介手数料を認識してしまうのかというと、世間一般で漠然と仲介手数料イコール「3%+6万円」と認識されているからということが大きな原因としてあげられますが、それに加えて次のことがその認識を確実にしてしまっています。
@仲介業者の担当に仲介手数料がいくらか質問すると当たり前のように3%+6万円といわれる。
A国土交通省の報酬額公示に関する書類のみづらさ
@については3%+6万円という仲介手数料は法律で定められた範囲内なので、その仲介業者がお客様から質問を受けて、仲介手数料は物件価格の3%+6万円ですと返答するのは全く問題ありません。残念なのは「法律上は3%+6万円以内となっており、当社ではその上限の3%+6万円の仲介手数料を頂いています。」とは間違っても教えてくれないということです。
Aについては多少問題があります。先ほどの説明した通り不動産業者は宅地建物取引業法に従って業務を行うこととなっています。その法律の第46条3項に国土交通省が定めた報酬額を顧客の見やすい場所に明示しましょうというという条文があります。この掲示物にとても大きな問題が隠されています。
公衆の見やすい場所にということで会社の受付等に掲示されているケースが多いのですが、その場所は当然ゆっくりと内容を見る場所ではありません。通常の案内であれば数分で部屋に通されるでしょうから、内容をじっくりみることなどできません。必然的に掲示されている内容の太字と表の部分しか見ないということになります。
そして、あとで仲介手数料はいくらですかと聞いても当然質問された担当は仲介手数料は「3%+6万円+消費税」ですと答えが返ってきます。
仲介手数料への誤解
目的にあった不動産会社の選択
さて、不動産売買の仲介手数料についての中身が見えてくると「3%+6万円+消費税」の仲介手数料はどうなの?高くない?こんな高い手数料は許せない!という声がかならず出てきます。ただ個人的には「3%+6万円+消費税」の手数料というのがあっても全く問題ないと考えています。一概に不動産会社といっても色々なカラーをもった会社がありますし、その会社でないと提供できないサービスや情報というものもあります。営業内容・手法によって、不動産会社の運営費用等も変わってくるでしょうから仲介手数料の額もいろいろな形があってよいのです。
しかし、だからといって当たり前のように仲介手数料を上限まで払ってしまうのも確かにおかしいと思います。第一に考えなければいけないことは不動産仲介にもいろいろな会社があるということを知ることです。仲介手数料が3%+6万円だから素晴らしいサービスを提供しているかというと全くそんなことはなくて、単なる慣習で上限まで仲介手数料をいただいているという会社がまだまだ大多数です。
皆さん苦労し貯めた資金の中から仲介手数料を払うわけですから後悔のない不動産取引を行うためにも、どのようなサービスを求めてその会社に仲介の依頼をするか、そしてその会社が皆さんの希望・要望を本当に満たしてくれるのかを吟味して仲介の依頼をすることが必要であると思います。